感想 アニメ界激震の圧倒的クオリティ「甲鉄城のカバネリ」 総評
2016年4月から始まった春アニメ「甲鉄城のカバネリ」。 その1話を見た時、その圧倒的クオリティに今期の覇権アニメはこいつだ!と思ったものです。
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思わず勢いでこんな記事も書いてしまいました。 そのカバネリも1クールアニメという事で最終話を迎えました。
そんなこんなで総括の感想を書いてみようかと思います。
圧巻の1話からの序盤
今や貴重になった原作無しのオリジナルアニメ、さらに実績と実力のあるスタッフさんに支えられたカバネリは2016年春アニメの中でも注目されていた作品であったと思います。
その期待を裏切らず、放映された1話はまさに圧巻でした。 作り込まれた世界観と美麗な作画効果もありますが主人公となる生駒くんがかっこよすぎる、アツすぎる。
悩む場面もありましたが、自分の信念をはっきりと口にし、困難に立ち向かう彼に対する高感度はストップ高でした。 またヒロインとなる無名ちゃんも12歳とは思えない色気をふりまいて毎回私達をドキドキさせてくれました。
この艶っぷりに関しても、メイク専門のアニメーターさんを起用しているんだそうです。
どちらの無名ちゃんもかわいいですが、今までにない試みもふんだんに盛り込まれているそうです。
そんな圧倒的作画と勢いで始まった甲鉄城のカバネリ。誰もが「これはすげぇアニメになるぜよ」と思った事間違いなしのスタートを切ったと言えます。
しかし話が進むにつれて不安要素もちらほらと出てきたんですよ、これが。
尺と展開が…
カバネという圧倒的な敵に住みかを追われた生駒たちは人の生存圏へと甲鉄城という汽車に乗って逃亡生活を送る事になります。
生駒と無名は半人半カバネの「カバネリ」であり人間を凌駕する戦闘力で甲鉄城の進路を切り開く戦いの先頭に立つのですが、カバネの恐怖に怯える一般人にとってはその力と未知となる存在そのものが恐怖の対処となり、2人を排除しようという動きが付きまといます。
そんな中、生駒は力と意思を見せつけ自らカバネとの戦いに身をゆだねる事によって、親しい仲間たちを中心に信頼を勝ち得ていきます。
最初は不器用で人と積極的にかかわろうとしなかった無名も、不器用ながら何事にも本気で立ち向かう生駒に感化され、笑顔を見せるようになって聞きます。この展開、特に目新しい要素も無い、本当に使い古された王道なのですが、生駒青年があんまりにも直球でアツいので実に良いです。
ここまでアツく素直な主人公ってのが逆に珍しく感じますね。 そうやってカバネの脅威を退け、なんとか生き延び、甲鉄城で逃げる序盤ですが、このカバネリ、1クールのアニメなのです。
最初は1クールで終わるか、2クール以上続くのかは不明でしたが、中盤辺りで1クールアニメと判明。 オリジナルアニメで1クールというのは尺的に長いとは言えません。
物語的にもどういった落とし所を見つけるのかとい重要になってくるかと思います。
そんな物語がどういった方向に向かっていくのかという中盤で登場するのが現在日ノ本を統括する将軍家の長男「天鳥美馬」です。
この美馬、カバネを狩る精鋭部隊「狩方衆」総長で、民からの人気もあると英雄として登場します。 そして無名の命を救った恩人でもあり「兄様」と慕われる人物でもありました。
しかし視聴者側からすると胡散臭さプンプンで自分に敵対するものを殺す際には笑顔を浮かべるといった残忍を徐々に発揮していきます。
この辺りからカバネを倒して皆で生き抜こう、という物語当初の流れが美馬の陰謀に巻き込まれる形で方向性を変えて行くのでした。
その美馬さん、
登場当初は無名の兄貴分として、英雄としてこんな爽やかな感じでしたが、物語が進むにつれ
こんな悪い顔を見せるようんなってきます。
そして徐々に明らかになってくる美馬の目的、それはここでは明かしませんが、そのためにカバネを狩る「狩方衆」の力とカバネを研究し、得た力を使用してきます。
その美馬の目的の中でも重要になってくるのが無名の存在でした。 カバネとも人間とも違うカバネリを力を美馬は目的を達成すための中核として利用しようとします。
過去に命を救われた美馬と、甲鉄城で共に戦ってきた仲間たちとの間でゆれる無名。
我らが主人公生駒くんは登場した直後から美馬は無名に「弱い奴は死ね」などと教えていたことから不信感をもっています。
そして徐々に残虐な正体をあらわす美馬を倒すべき敵と認識し、生き残るために、無名を美馬の手から救い出すために、美馬と狩方衆との決戦へ、クライマックスへ向けて話が進んでいくのでした。
結局カバネとは
この時点で物語の核でもあった圧倒的な力をもつカバネは割と隅に追いやられ、美馬の復讐の道具的な存在へとその地位を落とします。
こんなに恐ろしかったのに…
カバネという未知な敵との生存をかけた戦いから、一個人の復讐劇となっていったのでした。
美馬はカバネを独自に研究していたようで、その力やカバネリ化の秘密もちょこっと出てくるのですがあくまで必要最低限。 その作り込まれた世界観とカバネについてはあまり触れない結果となりました。
正直この展開は視聴者側としては、あれ?こうなるの、と戸惑いを隠せない状態であったのかな、と推測します。
妻と一緒に視聴していましたが、妻は美馬の登場以降興味を失い、すっかり見る気を失っていました。
このクオリティで2クールはとても難しい事なのかもしれませんが残念なポイントその1です。
さらに結末を簡単に申し上げますと、美馬との決着はつくもののそこで終わり。 所謂「俺たちの戦いはこれからだ」エンドです。
か、監督ゥ!
逆に2期も期待できるぜ!と肯定的に捉える事としましょう。
オタクならぜひ見ておいて損の無い作品
ぐだぐだと否定的な意見も書きましたが、その圧倒的作画とクオリティでアニメ界に一石を投じた作品である事は間違いないと思っています。
その圧巻の1話だけでも見る価値はあると思いますし、1話を見てしまったら必ず続きも気になるはずです。 主人公生駒のまっすぐな生きざまも好感が持てました。
ですが半面ストーリーに焦点を当てると純粋にカバネと戦う、というよりはカバネの力を利用した復讐劇といった終わり方をするので、その方向性なのか、という戸惑いを感じる部分もありました。
そういった点を含めても見て損の無い作品である事には間違いありません。
12話というのも視聴しやすい話数ではあると思います。
しかしオリジナルモノで1クールというのは本当に難しいですね…尺が足りない印象はぬぐえませんでした。
でも終わり方としてはどうとでも広げられるとは思うので、2期か劇場版をやるんだろうなぁ。それも円盤の売上次第でしょうかね。
とはいっても私個人は楽しめました。
あとは個人的には主題歌を歌っている「EGOIST」が好きなので、久方ぶりにその歌声を聴けたのが嬉しかったです。
豪華スタッフで送る、アニメ史に軌跡を残したであろう「甲鉄城のカバネリ」。
未視聴の方はぜひ、1話を見てみてください。続きが気になる事請け合いですよ。